新古今和歌集冬559 口語訳 木の葉の散る宿のうちに、 行く秋に、迎えた冬に、独り寝の哀しみに 涙をこぼし衣を片敷いている。 そうして敷いた衣の袖の色は すっかり色褪せてしまったなあ。 そんな、変わってしまった袖の色に 気づきもせず行ってしまう 和歌によく詠われる秋の虫はきりぎりすのほかに 蜩(ひぐらし)や鈴虫、松虫など。 くつわ虫、機織(はたおり=きりぎりすの古名)が少ないのは にぎやかな虫だからでしょうか。 人もがな見せも聞かせも 萩が花咲くゆふかげのひぐらしのこゑ紀貫之・ 壬生忠岑 がその死を悼んだ哀傷歌が古今集に見える。 古今集に四十七首収録(作者名不明記の一首を含む)。 その数は貫之・ 躬恒 に次ぐ第三位にあたる。 勅撰入集は総計七十首。 家集『友則集』がある。 三十六歌仙 の一人。 小倉百人一
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